1.相続税への不安と実態
・「相続=高額な税金」という不安を抱える人は多いかもしれませんが、実際に相続税の申告が必要な人は全体の5~6%程度しかいません。
これは、相続税が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にのみ課税されるためで、例えば、法定相続人が3人なら、基礎控除は4,800万円となり、これ以上の財産がないと課税されることはありません。
・また、土地の価格は高額なイメージがありますが、実際の相続財産の評価は時価ではなく税法上の評価額のため、一般的には低めに設定されています。
・相続人に対する生命保険金や死亡退職金にも非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、保険金等の満額に課税されないようになっています。
では、実際に土地を相続する際に直面する具体的な問題を見ていきましょう。
2.土地の相続に関する具体的な問題
◆自宅などの住宅用地
・相続税評価額は実勢価格(不動産が市場で実際に取引される価格)よりも低めに設定されるが、納税のために売却すればその分の税負担や代わりの住居の問題が発生する
・自宅は資産価値があっても、そのまま住み続けるためには保持していかなければならない
◆駐車場などの収益用地
・収益は見込めるが、住宅に比べ固定資産税の負担が大きい
・地域によっては駐車場過剰で価格競争が激しく、実際の利益が少なくなってしまう可能性も
◆農地(田畑)
・農地法の制限により自由に売買ができない
・管理が大変で、放置すれば雑草や不法投棄など荒れ放題になるリスクも…
ひとくちに土地といっても、土地によって用途や活用方法はさまざまです。
今後の管理方法もしっかりと考慮したうえで、土地をどのように相続するのか検討しましょう。
3.遺産分割協議の難しさ
相続人が複数いる場合、遺産分割協議で遺された財産を分け合うことがあります。
遺産分割協議は、相続人全員で財産の分け方を話し合う場であり、遺言書がない場合などにはとても大切な作業です。
ただ、相続人同士が良好な関係であれば問題ありませんが、なかなか思うようにはいきません…
法定相続分に基づいて平等な分割を無理に実行しようとすると、一つの土地に複数の権利者が絡むことになり、活用が難しくなります。
(例えば、長男が住む家の土地の名義に姉が含まれるなど)
相続登記後は、固定資産税も発生するため、所有している人には金銭的な負担が継続的にかかります。
自分が住んでいるわけではない土地のために姉も固定資産税を支払うことになったり、長男が、自分の住んでいる土地を処分したくても、姉の許可が必要だったり、と単に、平等な遺産分割のために土地を共有名義にしたとしても、必ずしも双方納得のいく解決策であるとはいえません。
その長男の相続が発生し、さらにその子どもたちにも権利が絡んでくるとより複雑化してしまいます。
トラブル回避のためには、法定相続分にこだわるよりも、協調的な話し合いが理想です。
また、土地は「共有」よりも「単有(1人が相続)」する方が望ましいでしょう。
多くの財産を相続した者が、他の相続人にお金を支払う「代償分割」という方法もありますので、遺産分割協議ではさまざまな方法を検討する必要があります。
4.理想的な相続
土地は相続財産の中でも特に複雑で扱いにくい資産です。
評価額と実勢価格の違いや、固定資産税・農地法の規制といった法的・経済的側面、そして相続人同士の感情的な対立など、多面的な問題が発生します。
理想的な相続には、「法律に従いながらも柔軟に話し合う姿勢」が不可欠であり、可能であれば土地は単独相続し、必要に応じて代償分割を行う方法が現実的です。
この記事を書いた人(税理士法人アミカ 代表社員:境内 生)