不動産の”分筆・合筆”で大逆転は本当か? -相続税評価は筆ではなく”利用区分”で決まる-

相続対策の相談の中で、地主の方から時々いただく質問があります。

「筆を分ければ評価が下がると聞いたが本当か?」
「逆に合筆すると安くなる場合があると聞いたが、なぜだ?」

結論から先に言うと、

👆【大原則】分筆・合筆“だけ”では相続税評価は変わらない

理由:評価額は「筆」ではなく「利用区分」によって決まるから

相続税の土地評価は、筆単位ではなく、その土地がどのように使われているか=利用区分(自用地・貸宅地・貸家建付地・雑種地など)で評価されます。

したがって、分筆した、合筆した、という行為そのものでは、利用状況が変わらない限り、評価方法も評価額も変わりません。これは税務の基本であり、ここを外すと誤った節税提案になってしまいます。

近年ネット上で「分筆したら評価が下がる」という表現が独り歩きしていますが、これは評価制度を正しく理解していない内容です。

ではなぜ「分筆・合筆で評価が変わった」という事例が語られるのか?

それは、“利用区分そのものは変わらないのに、評価の算定過程に影響が生じる場合があるため”です。誤解を生まないように、ここを丁寧に解説します。

【理由①】利用区分は変わらないが、評価単位(評価上の区画設定)が整理され、結果的に補正率が変わることがある

不動産は実際の利用状況に応じて、評価上「利用単位」を区切ります。
これは筆と一致することもあれば、しないこともあります。

たとえば、一筆の中に

  • 建物の建っている部分(貸家建付地)
  • 駐車場として使われている部分(雑種地)
  • 家庭菜園として使われている部分(自用地)

などが混在しているケースでは、評価上は区画を分ける必要があります。

この区画分けが、分筆することで“明確化する” → 評価実務上の整理が生じる → 結果として補正率などに変化が出るということがあるのです。

ここで重要なのは、分筆したから評価が変わったのではなく、もともと必要だった利用区分の区分が明確化されただけという点です。

つまり、元の評価が曖昧で、実態に沿っていなかったため、整理した結果として評価が上下するというのが本質です。

【理由②】地積規模・間口・奥行などの補正が、“評価区画の取り方次第で”変わることがある

具体例を挙げます。

【例】奥行が極端に長い不整形地

一筆のままだと「不整形地補正」が大きく入り評価が低くなります。

しかし分筆すると、補正の入り方が変わり、
①片方は補正率が弱まる
②もう一方は宅地として整形化する

→ 結果として総額評価が上がることがあるのです。

逆に、

  • 分筆することで旗竿形状が発生し、
  • 評価単位として見ると、不整形地補正や間口狭小補正が強く働く

→ 評価総額が下がることもあります。

ここでもやはり「筆を分けたから評価が下がる」という因果ではありません。

評価の前提である“区画の形状”が変われば、補正率が変わるのは当然、というだけです。

【理由③】利用区分の誤認が正されることで評価が変わることがある

実務では、地主の方の固定資産税課税明細書を見ると、

  • 一筆に家屋が建っているため「宅地」と扱われている
  • しかし実態は一部が空き地で建物として使われていない

というケースもあります。

相続税は実態主義のため、実際の利用状況に応じて区画分けして評価し直す必要があります。

分筆を行うことでこの利用区分が明々化し、固定資産税と異なる“実態利用”に基づいた相続税評価に修正されるのです。

その結果、評価額が変わることがあります。

ただしここでも、分筆が評価を変えたのではなく、実態が正しく反映されただけです。

【理由④】接道義務・建築不可地の判断が、区画の取り方で変わるケース

相続税評価は利用区分で決まりますが、その利用区分の前提として、建築できる地かどうかが重要です。

一筆のままだと「接道している土地」と扱われるが、実務上見ると奥の部分は接道しておらず、

  • 分筆すると奥部は“建築不可地”扱いとなる
  • 雑種地や“私道負担的敷地”として評価が大幅に下がる

逆に、

  • 合筆して公道に接する部分が広がる
  • 建築可能な整形地として扱えるようになる

→ 結果として評価が上がることもあります。

ここでも原理は同じです。

利用区分の判定に必要な前提条件が変わる → 結果として評価が変わるというだけです。

まとめ:筆の操作そのものが節税になるわけではない

影響が出るのは“評価の前提となる区画設定・形状・接道状況など”なので 相続税評価は「筆」によって決まりません。

原則は利用区分によるもので、 分筆・合筆“だけ”では評価は変わらないのです。

👆利用状況が変わらなければ評価方式は同じ

 ただし、評価の前提となる区画の取り方・形状・接道条件が変われば、補正率が変動し結果として評価額が変わることがありますが、 これは分筆が節税になるという意味ではなく、元の評価が曖昧だっただけ

 正しい評価は“実態利用”に基づく評価区画の設定が必須です。

よって、固定資産税の筆区分に引きずられないことが重要になります。

分筆・合筆が節税策として紹介される場面がありますが、専門家としては次のように説明しています。

「分筆すれば節税できる」

→ 誤り。筆だけ分けても評価は変わらない。

「分筆・合筆で評価が変わることがある」

→ 正しい。しかし理由は“筆”ではなく、
評価区画の設定・地形の補正の入り方が変わるため。

「評価の見直しで結果として変わる」

→ これは分筆の効果ではなく、もともと評価が適切でなかったから。

最後に

不動産の評価は、筆数よりも「どう利用しているか」「どの区画で評価すべきか」が本質です。

もし評価が曖昧なまま申告してしまえば、

  • 誤った税額を払う
  • 税務調査で指摘される
  • 二次相続で不利になる

といったリスクも生じます。

分筆・合筆は節税テクニックではなく、評価を“正しくする”ためのツールにすぎません。その結果、評価が上下することもあるというだけです。

地主の方の土地は広く、複雑な利用が混在していることが多いため、ぜひ評価区画の整理を専門家とともに行うことをおすすめします。

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