親が認知症になったら相続はどうなる? 地主後継者が知っておくべきリアルな話

今回は、「親の認知症と相続」という、地主のご家庭にとって切実かつ避けては通れないテーマについてお話ししましょう。

特に、親から土地や不動産を引き継ぐ予定の地主後継者の方は、法律的な落とし穴から現実的な対応策までご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「うちの親は、まだまだ元気だから大丈夫」…は危険です!

認知症は、ある日突然進行するわけではありません。徐々に物忘れが増えたり、些細な判断ミスが目立ち始めるところから始まります。

親と同居している場合や、頻繁に連絡を取ったり会ったりしている場合は、小さな変化や違和感にも気づきやすいですが、遠方に住んでいるなど、なかなか親と会う機会がない方は、「最近、物忘れが多くなってきたなぁ、もう年かな」と終わらせてしまうことも多く、問題は、「あれ?ちょっと怪しいかも…」と思った頃には、もう遺言書が書けない状態になっている可能性があるということです。

土地や不動産を多く持っている地主の資産家の場合、相続する財産が高額になりやすく、しかも不動産は、「分けにくい・揉めやすい・売りにくい」の三拍子が揃います。

親が元気なうちにきっちり準備しておかないと、あとあと泥沼化してしまうのです。

認知症になると、相続の準備が「止まる」

では、親が認知症になってしまったらどうなるのでしょうか?

一言でいうと、本人の判断能力が失われると、遺言書も不動産の名義変更も生前贈与もできなくなります。

以下、認知症発症後に困る具体的な例を挙げてみました。

・公正証書遺言が作成できない

・土地の売買契約や贈与契約が結べない

・銀行口座が凍結される(相続発生時)

・家族信託などの制度が使えない

生前に対策できたことも認知症になってしまうとできなくなってしまうことも多く、相続の準備が止まってしまいます。

地主後継者としては、「農地を売って納税資金を用意する」といった柔軟な対応ができなくなり、相続税の納税資金のために、必要な土地を手放さざるをえない、という最悪のシナリオもあり得ます。

「認知症×相続」で実際に起きがちな3つのトラブル

地主家庭でよくある認知症と相続のトラブルを具体的に見ていきましょう。

1.遺言書がない→兄弟で揉める

「長男に土地を任せたい」と口では言っていたけど、遺言書はナシ。

いざ親が亡くなってしまうと、兄弟姉妹から「私にも相続する権利がある!」と主張され、話がまとまらない。

結果、不動産の共有名義が発生し、管理も売却もできない「動かせない資産」になってしまうケースは後を絶ちません。

2.認知症発症後、家族信託が使えない

地主のご家庭では、家族信託という制度を使って「長男に土地の管理を託す」という方法が注目されていますが、これは親が判断能力を持っているときにしか設定できません。

気づいたときには家族信託が使えなくなってしまっていたというパターンは非常に多く見受けられます。

3.納税資金の工面ができない

相続税の納税は現金で一括払いが原則。

土地ばかり持っていて現金が少ないといった地主家庭では、「資産はたくさんあるのにキャッシュがない」という納税資金不足に陥りがちです。

そうなると、納税のために一部の土地を売る必要がありますが、親が認知症になってしまってからでは売却の契約ができません。

成年後見制度を使えば可能ですが、裁判所の許可が必要で自由が利かないうえ、時間も費用もかかってしまいます。

とにかく「早めの準備」が命!!

地主後継者ができる一番の対策は「親が元気なうちにしっかりと話し合っておくこと」です。

以下の準備は最低限やっておくことをおすすめします。

・公正証書遺言を作成する(できれば相続人全員に周知)

・家族信託を活用して、土地の管理権限を移しておく

・不動産の評価を確認して相続税額を試算する

・納税資金を準備する(生命保険の活用、売却計画など)

「親と相続の話をするなんて、気まずくて…」という気持ちはわかります。

でも、黙っていても状況は悪化するだけです。相続で家族関係が壊れてしまうくらいなら、元気なうちに勇気を出して話しておきましょう。

成年後継制度を知っておく(でも多用はNG)

親がすでに認知症になってしまった場合、「成年後見制度」を使って代わりに契約などを行う方法があります。

しかし、ここには注意点があります。

・家族であっても自由に動けない(裁判所の監督下になる)

・不動産の売却や贈与には、都度、裁判所の許可が必要

・一度始めると、親が亡くなるまでやめられない(費用も継続)

つまり、使い勝手としてはあまりよくありません。どうしても必要なときの最終手段として認識しておくべきです。

専門家チームを味方につける

相続・認知症問題は、法律・税務・不動産の知識が複雑に絡みます。

1人で対応するのは正直、無理です。

だからこそ信頼できる専門家チーム(司法書士、税理士、弁護士、不動産コンサルなど)と連携して動くことが重要といえます。

親の状態、家族構成、土地の評価、相続税対策…これらを総合的に見て「今、何をすべきか」を導き出してくれる存在は、地主家庭にとってまさにライフラインです。

親が認知症になると、相続対策は急激に選択肢が狭まります。

特に、地主後継者の方は、親の財産を守る責任を負う立場。

その分、早めの判断・行動が何より大切です。

親が元気なうちに家族みんなで話し合うことで、本来の親の気持ちを知り、親の意向に沿った準備をすることもできます。

土地と未来は、今の決断で守れる。

家族全員が後悔しない相続のために、話し合い、準備し、安心できる未来を創る。

土地という大きな資産を「重荷」にするのか「誇り」にするのかはあなた次第です。

相続と認知症のリアルから目をそらさず、今日から一歩踏み出してみませんか?

 

 

 

 

 

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