土地や不動産よりも「預金」が多い方のための相続税対策

なぜ「預金」は相続税で不利なのか?

相続のご相談を受けていると、特に「預金」を多く持つ資産家の方がいらっしゃいます。

ところが、相続税の世界では、この「預金」という資産は非常に扱いが厳しいのです。

なぜなら、

  • 預金は 評価額=残高そのまま。値引きも割引もない。
  • 換金性が高いため、税務署も調査しやすい。
  • まとまった金額がそのまま相続財産に計上され、相続税の課税対象となる。

からです。つまり、数千万円、数億円といった預金をそのまま持っていると、税額が一気に膨れ上がってしまいます。

そこで、有効に活用できるのが生命保険です。

生命保険が相続で持つ「特別な力」

生命保険には、他の資産にはない❝相続税対策上のメリット❞があります。代表的なものは、以下の2点です。

 1.非課税枠がある
生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。
例えば相続人が妻と子2人(計3人)の場合、500万円 × 3人 = 1500万円までの保険金は非課税となります。

 2.現金をスムーズに遺族に残せる
預金は相続開始後すぐに凍結され、引き出すには相続手続きが必要です。
しかし生命保険金は、受取人が指定されていれば 数週間で直接受け取れる現金 になります。
相続税の納税資金や葬儀費用の支払いに即使えるのです。

この2つのメリットをうまく組み合わせることで、預金をただ持っているだけよりも、はるかに効率よく「相続税対策」と「納税資金準備」が可能になります。

では、具体的にはどのように活用できるのか、さまざまなパターンの事例を使ってみてみましょう。

事例1:預金1億円を持つAさんの場合

Aさん(70歳男性)

  • 預金:1億円
  • 不動産:自宅のみ
  • 相続人:妻(68歳)、子ども2人

このまま相続が発生すると、1億円の預金がそのまま相続財産に加算されます。相続税は数千万円規模となり、奥様やお子さんにとっては大きな負担です。

👉対策としての生命保険活用

Aさんは預金の一部を使い、妻を受取人とした終身保険3000万円に加入しました。

  • 保険料:一時払い(預金から拠出)
  • 死亡保険金:3000万円
  • 受取人:妻

この場合、保険金3000万円のうち、非課税枠「500万円 × 3人 = 1500万円」が適用されます。
つまり 3000万円のうち1500万円が非課税扱いとなり、課税対象は残り1500万円のみ

結果的に、相続税額を数百万円単位で減らすことができました。
さらに、妻は銀行手続きなしで速やかに3000万円を受け取ることができ、生活費や納税資金に充てられるという安心感も得られました。

事例2:不動産はあるが現金が少ないBさんの場合

Bさん(75歳男性)

  • 不動産:賃貸アパート(評価額1億5000万円)
  • 預金:500万円
  • 相続人:妻と子2人

Bさんは地主で資産は豊富ですが、手元の預金が少なく「相続税をどう納めればいいのか」が課題でした。

👉対策としての生命保険活用

Bさんは毎年の賃料収入から積み立て、一時払い終身保険2000万円に加入しました。

  • 死亡保険金2000万円は妻が受け取り
  • 非課税枠1500万円が適用され、課税対象は500万円のみ

結果、妻は相続税の納税資金としてすぐに現金を確保できる体制となりました。
このように「現金が少ない地主」の場合、生命保険は「相続税を納めるための現金づくり」として非常に有効です。

事例3:子どもに資産をスムーズに残したいCさんの場合

Cさん(65歳男性)

  • 預金:8000万円
  • 相続人:妻と子1人

Cさんは「妻が先に亡くなった場合、子どもにスムーズに資産を残したい」と考えていました。

👉対策としての生命保険活用

Cさんは 子を受取人とした一時払い終身保険2000万円に加入

これにより、子は相続発生後にすぐ2000万円を受け取れるようになりました。
しかも、非課税枠は「500万円 × 2人(妻と子) = 1000万円」ですから、2000万円のうち1000万円は非課税。

さらに、保険金は「誰に渡すか」を契約時に明確にできるため、遺産分割をめぐるトラブル防止にもつながります。

預金から生命保険に変えると

生命保険を活用すると、次のような効果が得られます。

●預金をそのまま持っているより相続税を減らせる(非課税枠の活用)
●納税資金をスムーズに準備できる
●誰に遺すのかを明確にできるため、遺産分割争いを避けやすい
●老後の生活費に不安がなければ、預金を保険に変えるだけで日々の生活に支障は出ない

ただし、生命保険にも注意すべき点があります。

●保険料負担:一時払い保険の場合は大きな預金を一度に動かす必要があるので、生活資金を圧迫しない範囲で行うことが大切
●年齢・健康状態による制限:高齢や持病があると、加入が難しい場合がある。最近は「告知が緩い保険」も増えているが、条件は確認が必要
●税務上の取扱い:契約者・被保険者・受取人の組み合わせによっては、贈与税が課されるケースも。専門家に確認してから契約するのが安心

預金を生命保険に変えてみることを検討しよう

預金をそのまま相続させると、評価額がそのまま課税対象となり、相続税の負担が大きくなります。
しかし一部を生命保険に変えるだけでも大きなメリットがあります。

「相続税対策は難しいことをしなければいけない」と思いがちですが、実は 預金の一部を生命保険に変えるだけ でも十分に効果があり、相続対策をすすめることができるのです。

相続が「争族」にならないよう、そして残された家族が困らないよう、ぜひ早めの準備をおすすめします。

 

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